ビフィダス牧場

サークルyogurt、ビフィダスの活動報告場です

こんにちは。
合同誌(アンソロと言うほうがなじみかもしれませんが)を主催した経験を基にした備忘録、その2です。
今回は、原稿募集と編集作業の具体的な作業内容についてです。
前回の合同誌コラムはこちら→【とくべつコラム】合同誌を作る その1~企画編~
合同誌はコチラ!→ソリコレ~艦娘剃毛合同~のお知らせ C89

【合同誌の原稿募集の際に必要な提示情報】

何よりも、「執筆者が安心して原稿作成に取りかかれるように、具体的なことは極力丁寧に提示しておく」という姿勢が重要だ。
そして、大体次のことを提示すれば安全だと思う。
・テーマ
当然、提示すべき。ジャンル・キャラ・エピソード、指定条件がある筈なので。剃毛とか、エロとかギャグとか。
・目指す頒布イベント
次のコミケ、とか。
・締切
自分自身の原稿との兼ね合いや、編集の労苦を考えると、印刷所への提出期限の2~4週間前くらい、かなり余裕を持って設定したほうが絶対にいいと思う。締切が前倒しになると、参加者としても原稿を作成し易いように思うんだが、どうだろう。
・サイズ、規格
一般的な同人誌サイズ(B5)の白黒原稿だと、B5、右綴じ、モノクロかグレースケールで解像度600dpi、というのがよくある規格だと思われる。近頃はコミックスタジオ・クリップスタジオの使用者が多いおかげで、基準線の位置などが大体テンプレ化しているのでそのまま使えてありがたい。
カラー原稿となると、解像度350dpiが一般的な様子だ。
・一人あたり何ページ単位で担当して欲しいか
1Pイラストから参加可能という場合もあれば、最低2Pだとか最低8Pだとか、色々あると思われる。
・ページは右始まりか左始まりか
スクショ4
本に作品を寄稿する側としては、自分の作品が左ページから始まるのか右ページから始まるのかというのは重大関心事になる
1P分のイラストの場合でも、後述するように「自分の絵は本の右か左か」「どっちが断ち切り側でどっちがノドなのか」が分かっているかいないかで作り方が変わってくるし、「未定」の場合は「どっちになってもいい」ようにイラストを作らなければならない訳だ。
ちなみに、一般的な漫画雑誌では基本が左ページ始まりだが、今回の剃毛合同では右ページ始まりとした。
2Pで参加される方が多かったので、見開き単位で作品を表現して頂きたかったのだ。
参加者一人当たりの担当ページが多い場合は、左ページ開始が一般的になると思われる。
・性表現に関する指示
本が全年齢向けか成年向けかというのは重要なこと。
また、一定の性的表現(猟奇だとか、児童系だとか)を禁じるなど、レギュレーションを作っておくべきケースもある。
・返礼
やはり最初に提示しておくべき事柄だと思う。献本だけなのか、原稿料が生じるのか、とか。
・予定参加者
これを知らされるとプレッシャーが生まれて、いいよね。
・予定している印刷所
これを提示するケースをよく見かけるけど、何だろうこれ。印刷所によって色の出方が違うから知らせておきたい、ってことなのかな。
(追記!)
これに関してはyashaさんより次のようなご指摘を頂戴しました。感謝です!
印刷所の提示は、各印刷所によって原稿サイズが異なる場合があったり
(入稿サイズがB5+断ち切りのみでOKである場合もあれば、B5原稿でもA4サイズ入稿が必要な場合がある)
原稿のテンプレートが各印刷所のHPにあったりするので、原稿作成の基準として重要な情報になる

とのことです。
僕の場合は全部A4に再編集してチェックし入稿していたので問題なかったかもしれませんが、
「貰った原稿に手を加えずに配置して入稿する」ような主催形態だと、寄稿者での規格統一が必須になるでしょう。(実際は手を加えないことなどないとは思うのだが。)この旨も、主催側は寄稿者に予め伝えるべきかもしれない。

【原稿を作る際は】

一般的に、B5の本の原稿を作る際は、一回り大きいA4の用紙を用意して、描く。
サンプル02
時々、B5サイズの原稿募集に対してB5きっかりサイズの原稿を提出するケースがあるみたいだが、
実害云々抜きにして主催側が「あっこの人、原稿作成経験値がねえ」と一気に不安になるので、よろしくない気がする。

☆白黒?グレースケール?

原稿を白黒で描くか、グレースケールで描くかというのは、作家の作風で変わるし、原稿作成に不慣れな方は結構悩むことな気がする。
幾つか良し悪しがある様子だ。
・白黒原稿…クッキリして漫画的になる。基本のトーン線数は60ないし70の人を多く見かける。
原稿を拡大しながら作業すると、線がカクカクしていて「なんかキレイじゃねえな」と不安になるかもしれないが、印刷するとちゃんと繊細に出る。
・グレースケール原稿…濃淡の微細な表現が効くので、イラスト原稿の人はこっちを選ぶ印象が強い。
ただ、印刷所によってはグレーがすごく濃く出てしまったりすることがあるらしいので、そのリスクは念頭に置いておくべきなのかも。

【原稿チェック】

原稿チェックには数段階がある。
ここで、本の完成度を高める為に編集側は手を尽くさなければならない。
明らかな不備のあるページがあると、それが本全体の価値を下げてしまうのだ。
編集側で、出来ることは全部やる。少なくとも私はそういう心構えで臨んだ。その結果、以下のような作業過程が生じた。

チェックその1・仕様チェック

原稿が適切な仕様であるかを、ページに組み込みながら判定していく。
時たま、原稿サイズが違っていたり解像度が350dpiになっていたりするケースがあるので、そういう際は差し返して修正を要求する。
また、原稿に明らかな誤植、汚れなどが確認できた場合も、執筆者に問い合わせる。
そして、一番難儀したのが、これだ。
以下の編集作業は実際僕がやった事柄だ。
例えばこういう「右ページ配置の」原稿が来たとする。
サンプル1o
「まんがになりたい子」という漫画を今書き下ろした。
何かすごくまずい気がするの、わかりますか。
わかりやすくするために、基本線を表示してみましょう。
サンプル1
青色が基本線です。この原稿をそのまま本にしてしまうと、どうなるか。
クリスタの製本3Dイメージビューアで見てみます。
スクショ1

左端のセリフが読めない!左端の女の子の顔や手が見えづらい!
これだと、本の質を下げてしまう「こんな読みづらい原稿を放置するような奴が編集している本なのか」と判断されるからだ
さて、本には「綴じている側」というものがあって、そちらに食い込んだ領域に、絵、文字、書き文字、漫符があると、読みづらくなる。この領域をノドと言う。
ノドを、さっきの原稿で表示してみるとこうなる。
サンプル12
緑の領域:断ち切られる場所。赤い領域:ノド。
したがって、編集する立場として私は、原稿をこんな感じで可能な限り切り張りして、絵や文字を動かしていった。
サンプル2
……ノドの部分に絵や文字が入っていないでしょう。
これ、どこを変えたかわかりますか。
サンプル22
かなり細かく手を加えている。2コマ目は、文字を詰める為に文字全体を上にずらし、行を一つ詰め、それにあわせて噴出しの形も変えた。
3コマ目も、左の女の子をズラすために、連動して下の女の子もズラし、そうすると真ん中の噴出しの文字と衝突してしまうので、噴出しの大きさも文字の位置もいじっている。
こうすると、本にした時に、こう見える。
スクショ2
読みやすくなった。
修正がこっちの力ではどうしようもなく及ばない場合、執筆者に差し戻して、スクリーンショットに赤線などで指示し、修正を要求することになる。(こういうケースも勿論あった。)
……
こういう、編集側の修正の手間を省くためにも、寄稿者側は、原稿作成時にこんな感じのことを意識しておくと良い気がする。
サンプル3
スクショ3
本にしても読みやすい!ヤッタネ!
……ちなみに、上のような修正を私は剃毛合同で実際に数件、行った。
このことをある作家先生に言ったところ、苦笑いされてしまった。つまり、「親切すぎる」という奴なのだった。
だが、本のクオリティを高める為にはやるべきことだと私は判断した。編集作業というのは大変なのだ。

チェックその2・トーンチェック

寄稿者の原稿を集めてチェックしながら、原稿のトーン部分を確認する。
このチェックは厄介で、漫画作成・印刷の経験の浅い方の原稿を受け取る場合、しばしばこういうことが起きる。
下記はその一例。
スクショ5
原稿を拡大してトーン部分を見てみたら、こういうトーン処理がされていたとする。
つまり、「トーンがグレー」なのである。
これが不味い。
印刷すると汚くなってしまう(「モワレ」が出てしまう)のだ。そのような作品が、本全体のクオリティを下げてしまう。
どういうソフトでどういう描き方をすればこういう状況を招いてしまうのか私は正直わからない。
こういう場合は原稿を即座に差し戻して修正を請う形になる。編集側では対処できないからだ
寄稿をしたいという方は、ここは本当に本当に注意せねばならない。というか、知っていなければならない
影サンプル完成

1がダメな例。
2はオーソドックスなトーン白黒原稿。適正。
3はグレースケールで塗ってトーン化する白黒原稿。適正。かなり多いと思う。
4はグレースケール原稿。これも上述したようにリスクはあるけれど適正。
2、3、4の形になるように、原稿を作ることを心がけたい。
……なお、このチェックは、モニター上では難しいが、プリントアウトすれば問題を容易に発見出来る。本来ならば全ページをプリントアウトしてチェックしたいところだ。
但し、頂いた原稿をいちいちプリントアウトしてチェックするというのは凄まじい手間なのだ
この手間を編集者に負わせない為にも、寄稿者側が徹底的に意識するべき事柄だと私は思う。

チェックその3・局部修正

これも、参加するイベントの基準に合わせて入念に行う。
印刷所によっては(今回は「ねこのしっぽ」社さんにお願いした)、入稿後に印刷所で再チェックして修正を入れてくれる場合もあるが、印刷所側のチェックに期待して甘えるのは良いことではない。
そもそも全ての印刷所でチェックしてくれるならイベント当日での停止処分なんて一件も起こるはずがないのだ。
責任を持って頒布できるように、頑張らないといけない。

☆原稿締切を早めなければいけない理由

合同誌の原稿締切を、印刷所への入稿よりもずっと早めなければいけない理由というのは、
まさにこの「編集・チェックからの差し戻し」に時間がかかることにある。
主催者も寄稿者も会社員である場合、 「編集側がチェックして寄稿者へ連絡」「それを受け取って寄稿者側が修正し再提出」「編集側が原稿を受け取り、再チェック」(修正が足りていない場合、これを繰り返す
このやりとりにいちいち莫大なタイムラグが発生するのである。
これが締切直前だと、主催者も寄稿者も「もうムリだ、このままでいいや」とならざるを得ない。
不満足な原稿を入稿し製本し頒布するのは、関係する人間に様々な感情を与えることになる

主催者読者に負い目を持つ。
主催者寄稿者に怒りを持つ。
寄稿者主催者に負い目を持つ。
主催者寄稿者も、他の寄稿者に負い目を持つ。
 

……この責任、早々負い切れるものではない。下手をすれば人間関係の傷になることさえある。
だから、寄稿者側スケジュール管理原稿品質管理を可能な限り徹底すべきであり、
主催者側も、寄稿者側にスケジュール管理原稿品質管理適宜指示して行くことが求められるのである。締切一ヶ月前や一週間前などに、主催者は寄稿者に「原稿はいかがですか」とメッセージを飛ばしていくことになる。
共同作業というものが持つ意味」というのは常に考えないといけない、と、しみじみ思う。責任を持たなければ楽しいものにはならないって奴なのだ。

(追記)
☆それでもその人を誘いたい

編集作業のあれこれを語っていると、こういう疑問も出てくるだろう。
漫画原稿作成に不慣れな人には最初から声をかけなければいいのではないか」と。
実際、漫画作成にも合同誌寄稿にも慣れている作家同士の合同誌であれば、そして局部修正不要の全年齢本であれば、編集チェックの労苦は極限まで削減されるだろう。
だが、現実問題として、様々な理由と意味合いから、こういう編集労苦は起きるし、その労苦は引き受けねばならない
というのも、
それでもその人を誘いたいからだ。そして、その人の原稿を本に納めたい、のだ。その人の作品が好きだから
現代は特にそうだが、絵や作品の発表形態は必ずしも漫画とは限らない
ネット上で、魅力的なイラスト、カラーイラストやコミック作品を発表している作家さんで、製本経験や漫画原稿作成経験があまり無いという方は当然いるし、多い筈だ。
そういう方を本に招ける喜びというのは、主催・編集側としては凄く大きいのだ
この喜びが、編集労苦を完全に帳消しにしている
そして、このような機会と経験をもとに、その方がご自身で同人誌等を出されていくことになるとしたら、それは至上の喜びなのである。
上の編集の手間暇に関する記事が、本媒体への原稿を作ることへの垣根を下げることへとつながるなら、
そして漫画畑でない作家さんが本媒体に積極的に参加されることに少しでも寄与できるならば、有難い。
 
【台割(各原稿の配置)】

さて、編集者は、寄稿していただいた原稿をチェックしながら、本に配置していくことになる。 
その際も色々考える。
本の性質や編集者の意図によって、配置の仕方には様々な基準が生まれると思われる。

・「とりあえず知名度・クオリティの高い作品を前へ前へと詰めていき、読者を喜ばせる」
・「読者が読んでいて疲れないように、濃密な作品と読み易い作品とを、エロとハートフルとを、交互に配置する」
・「キャラやネタが被った時は両作品の配置を離す」 
・「原稿が集まった順に前から配置する」 

様々な考え方がある。正解もないし最善手もない世界なので、出した後に後悔は避けることが出来ないんだが、それでも編集側は手を尽くしたほうがいいと思う。

さて、長々とした合同誌コラム、次回の最終章は、広報、宣伝編となります。
 
 【とくべつコラム】合同誌を作る その3~広報編~

こんにちは。
今回私は『艦娘剃毛合同』(後に愛称としてソリコレという名を付け直した)という合同誌を企画して取りまとめることとなった。
itakusample
宣伝用
(よろしくね!ソリコレ~艦娘剃毛合同~のお知らせ C89
イベントを終えて、合同誌の主催者として、何を考えていたのか、何を考えるべきだったのか、こういったことを集合知として共有することによって皆様のお役に立てばいいと考え、総括をかねてこんなコラムを書いてみます。
合同誌を主催してみたいという方
合同誌に参加してみたいという方

ご参考になれば幸いです。
※俺はこうしてる!俺はこう思ってたんだけど!といったご意見がございましたら、どうかお寄せ下さい。 
※なお、合同誌にも色々あって「少数の作家さんで、印刷費も売り上げも全て折半するコラボ誌(世間ではこれを合同誌と呼ぶ場面も多い様子です)」とか「ゲスト原稿を招いた個人誌」とか、色々ある筈です。今回私が念頭においているのは、主催者が寄稿者を集めて印刷費を負担してデーンと本を出す奴です。巷に言うアンソロです。

【合同誌を企画する際に考えるべきこと】

1・企画の目的は何か

その本を企画する目的は何なのか。何をすれば「自分は成功した」と思えるのか、これをしっかり見定めておくことは重要だ。
幾つかの目的設定が考えられる。
売り上げ
最低限赤は出さない、とか、作業時間を時給換算するとかで、主催側は一定のラインを設定する。合同誌の企画、品質管理、宣伝等に凄まじく気を遣う(本来ならどんな本でもこのことは凄まじく気を遣うべきではある。売り上げというのは「多くの人に喜ばれ、社会に価値を認められたことの指標」そのものだから。大切な事柄だ)。
自分と同じ領域にいる特定のファン、特定の領域の愛好者に向けての発表
その特定層の方々になら絶対届く、というようなものを作る。こだわりが重要。
仲間内でやり、参加者という仲間を作り、知り合いを増やす為の合同誌
こういう形態もあり得る。本を出しさえすれば目的は達成されると言えるかもしれない。
祭り
参加者がドバンと盛り上げて楽しむ為の本。花火。だから楽しめれば目的は達成。無論それでもクオリティを上げることに変わりはないだろうけど。(これは僕の推測に過ぎないが、物凄く知名度の高い作家さん同士が集まって超分厚くて超シコれる合同誌を作ったといった場合、この意識が高いのではないだろうか。つまり神々の遊び。)
自己満足
自分の好きな作家さんを集めて本という形にしたい、願わくばなるべく高いクオリティで、的な。だが、これは割と必要な事だと思う。「この本、最高だ!」という実感、これさえ確保できれば、何があっても堂々としていられるものだ。
自分の本の穴埋め。ゲストって言い方の方が正しいのか。自分の本の最後に1Pなり2Pなり描いてもらうみたいな。これがあこぎな形態になると、○○Pの本を出したいけど自分は△△Pくらいしか描かないでゲストさんを招いて描いてもらって本の価値と知名度を高める、なんて形になる予感だ。余りにあこぎなやり方をするとなんかを失う気がする。
自分の知名度を上げたくて企画する
…これは正直無理筋だ。合同誌を主催して作家さんを集めたいというのなら、自分の存在価値、魅力、宣伝力、そして社会的信用が一定以上高くなければならないし高めなければならない…と、私なら考える。(そういう意味では今回の剃毛合同は私の分際を超えた豪華執筆陣を招く形になってしまった。私は、アカウントこそ巨大であれ作風や絵に一定の決定的魅力がある人間ではないからだ。死にたい。)
……
上の諸要素はそれぞれの割合で混ざり合っているというのが実状だと思う。

2・企画規模はどれくらいにするか。

これも、二つのアプローチから考えねばならない。
幾つかパターンがありえる。

アプローチ1:参加者を募る側から

・参加者を兎に角集める
ファンアイテムとして企画し、募れる人は兎に角募る。レゲーや超特殊な性的趣向みたいな、小さい母数でのファン合同とかではよくある話だと思う。
・自分の知り合い同士で作家を集める
普段から交流があり互いに信頼している作家さん同士のつながりの中で企画を行う。よくある。
参加者を「ある程度」集める
これもよくある。つまり、まず知り合いの作家さん同士で集まり、その後に執筆者の募集をかけ、同好の士、モチベーションの高い方を集める。母数の大きい人気ジャンルでコンセプト合同誌をやる時などはこれだろう。
精鋭
本の価値を最大限高める為に執筆陣を厳選する。多分こういう場合、参加者は公募せず全部内々に声をかけていく。公募するにしても厳正に審査し、お断りをすることが出てくるに違いない。お祭り企画・神々の遊びにはこれが多い気がする。細かいことは知らない。

☆寄稿者募集の時に気をつけたいこと。
・結局のところ、合同誌の企画は8割がたは主催者の信頼度や手腕で成立すると思う。ものすごい作品が魅力的だとか、ものすごい顔が広くて信頼があってマーケティングが上手くて資本があるとか、私のケースのようにイケイケで宣伝できるとか。これに関する一定の計算をした上で企画をすべきな気がする。
そして、主催側も、顔として一定以上の責任を引き受けないといけない気がする(今回この責任を果たせたかについては悔いがある。150%の力を出すべき事柄だし、力を尽くしたとしてもそれでもなお後悔を引き受けざるを得ない事柄なのだ)。
……この世の合同誌サークルの運営形態を全部知ってる訳じゃないから何とも言えないのだけど。
・よく知らない人からの誘いなり申し出なりを受けた場合は気をつけたい。「どういう人なのか」というのはネット上では本当にわからない。トラブルを招いたときは責任を引き受けることを覚悟しないといけない。
・よく知らない主催者に寄稿を申し出る時は、「自分がどういう作品を描けて、合同誌にどういう価値を付加できる人間であるかを示すもの」を用意すること。pixivへのリンクなり、twitterをポートフォリオにするなり。これがないと、主催側は判断ができない。
・寄稿の申し出を断る精神力がない場合は主催をお勧めしない。

アプローチ2:本の価格から

こっちからも考えるべきだ。どう頒布するか、委託する際はどういう価格帯になるのか、などを考えることになる。
幾つかのパターンが考えられる。B5サイズの漫画と考えると…
・20~50Pくらいで頒布価格500円。
・50~80Pくらいで頒布価格600円とか800円とか。(このあたりのさじ加減はよくわからん)
・100P以上で頒布価格1000円以上とか。
ただし、分厚い本ほど様々なリスクを抱える
☆分厚い本のリスク。
・印刷費がかさむ。
・値段が高いので、買う側からすると買うのが億劫。これは本当にある。「安くすればいいじゃん」という問題でもない。「分厚い本が安い」ということが、同価格帯ないし同ページ数の作家さんに迷惑をかけるということはある筈だからだ
・本の体積が増えるので在庫管理が大変。搬入量はかさばるし搬出は労苦になる。イベント搬入部数の見極めは重要。
・他にもある…が、それは次の機会に。

3・参加者への対価はどうするか。

報酬なり謝礼、つまり参加への対価を設定し事前に示すということは不可欠の事柄だと思う。
作品というのは書くのに時間と労力がかかり、そして作品発表というのは作家が自分の人格性を一定の仕方で危険に晒す、大変デリケートな、スピリチュアルな営為だ。この世の漫画仕事に原稿料というものが存在するのもそれへの最低限の対価なのだろう。
対価を設定するということは、「主催者が寄稿者の原稿に対し一定の尊厳を保証する」ということを意味する気がする。
そして、その対価を得るということは、「寄稿者が自分の原稿に対し一定の品質を請け負う」ということでもある。正直、設定すべきだと思う。
で、幾つか対価の用意の仕方がある様子だ。
・完成本の献本
これは必須だろう。一冊とか三冊とか。但し、「本を複数冊貰っても仕方がない、自分で売るってのも変だし」という意見もあり、これはごもっともだと思った。難しいね。
・原稿料(ないし謝礼という名目でのそれ)
献本に加え、ページ辺り○千円、みたいな仕方で設定する。主催者は、「本のゲストページ数×○千円」を一気に失うので懐事情に注意されたし。また、謝礼の引渡しに関して現金を扱うので面倒が増える。引き受けるべき面倒だが。返礼は献本のみというケースもある様子だけど、これは「参加者に余程の善意がある」とか「金を払う/貰うほどの原稿でないと主催者も参加者も思っている」みたいな一定の事情が噛み合ってないと維持できない事な気がする。この辺りはよく分からない。
・原稿の対価になるようなお土産を用意する
これもある。「金銭の授受は避けたい」という立場の方もいらっしゃるからだ。
・原稿交換
つまり寄稿者の方が何か描いて欲しくなった時に原稿を描くという約束。これもある。但し、例えば10人のゲストに全てこれをOKするとなると、あなたは原稿作成時期に自分の原稿以外に10の原稿を描かねばならなくなる。これ、かなりしんどいはずなので念頭に置くべき。 

☆受け渡し方。
これも考えないといけない。
・イベントでの受け渡し
常套手段。でも、スペースで待ってなきゃいけないからしんどいよ! 寄稿者がサークル参加者である場合、そちらの移動の自由も利かないから、大変なのだ。
「主催が参加者のスペースを全部回る」と覚悟してもいい。が、それでも、謝礼がある場合は直接手渡ししないと問題が生じそうで怖い。不自由。
「コミケの最中に誰かにちゃんと会う」ことの難しさは、皆様ご承知だと思う。
…イベントで渡したい人との参加日ずれる場合、共通の知人に物品を任せて渡してもらう、という手段も考えられるのではあるが、如何せん「会えなかった場合に待つのは負担だし渡せなかった時に責任を持ちきれない」ので、断られても当然のことだと思う。あまり期待できない。
・配送、振込み
個人情報を扱うことになる。それ関係のリテラシーのない人間は絶対に携わってはいけない。
そういや「郵便局留めの郵送でお願いします」みたいなことも可能。 
☆追記
ある作家様より、このような手段があるとお話を頂戴いたしました。
・Amazonギフト券を使う
現金の直接のやり取りや個人情報のやりとりなしに金品を授受できるシステム。
Amazonを常用される方にはとてもいいやり方だと思われます。



…さて、
「原稿仕様・編集作業・製本後の行動」などについてはまた日を改めて書いて行きます。
【とくべつコラム】合同誌を作る その2~編集編~
【とくべつコラム】合同誌を作る その3~広報編~
 

2016年賀
明けましておめでとうございます。
旧年は沢山の方と知り合うことが出来、そして沢山の方のお世話になりました。
今年もよろしくお願いいたします。 

また、旧年のコミックマーケット89、ご来場ありがとうございました。
こちらでも大変様々な経験を致しました。
折角の機会ですので、備忘録がてら、幾つか書き残しておきます。
【C89、壁サークルでの参加と合同誌主催】
今回のコミケは、100P超えの合同誌の主催と壁サークル参加という二つの新しいことが重なった参加形態となりました。
そのことが、結果的に様々な幸せと、一方で確固とした不都合とを招くことになりました。
壁サークルと聞くと、コミケの花形だとか、一流サークルの象徴だとか、そういう印象を抱く方もいらっしゃるでしょう。
実際私もその一人で、人生において一度は壁サークルというものになってみたいと強く思念してはいました。
が、これ、完全なる誤解です。
搬入数を増やせば壁配置にはなる訳で、「壁になったから人気サークルになる」という訳ではないのです。
人気サークルであれば壁であろうが島中であろうが人気サークルであり、人気サークルになりたければまず作品魅力を増すべき、と言う話なんですな。
で、僕が今回感じたこと、「何が変わったのか」そして「何が変わらなかったのか」について一つ一つ述べていきます。
【変わったこと】
1・不自由
今回は合同誌主催ということもあり、寄稿者への配本・返礼を自分で管理せねばならなかった為、
結果としてスペースから殆ど出られなかった
コミケの醍醐味である、「スペースをあちこちゆっくり回って様々な作品に出会い、様々な方にご挨拶して本を交換したり購入したりする」ってこと、「コスプレ広場を歩き回る」みたいなこと、
そういうことが殆ど出来なかったのが強い苦痛だった。
もちろんこれは「合同誌主催」という特殊な立場に拠る事柄でもあるのだろうけれど、
壁サークルならば扱う物品量も扱う金銭量も多くなるのだから管理という点でもあまりウロチョロは出来なくなる。
「完売を目指した搬入量」に調整すればこの点は解消される気もするが、果たして。
2・人に会えない
これも上に付随することだが、前の夏コミのように「いろいろな人に出会う」ということが封じられた。
前の夏コミは誕生席で、隣近所が同ジャンルに囲まれていたので、様々な場所とのアクセスが良かった。席が近いなら、遊びに行くのも簡単で、結果多くの人のところに気軽に回れたし、多くの人がこちらに気軽に来てくださった。
だが、今回の壁配置は、艦これ島から遠く離れた箇所の配置となってしまった、こちらからは行き辛いあちらからは来辛い
また、壁サークルの人間に対して挨拶をしに行くのは、する側としてはかなり億劫なものだ
混んでそうな気がする。忙しそうな気がする。迷惑な気がする。新刊交換しづらい。
長話もしづらい。「あ、お忙しそうですのでこれで」となる。
悲しい。
悲しい。
悲しすぎた。
3・一番必要なのは「メンバー」
結局のところ、壁サークルを維持する為に一番必要なことは、
長く関係を結んだサークルメンバー信頼関係があり理解と危機意識を共有している友人お金含めその場を任せられる誰かの存在、なのだと思う。
一方、ぽっと出で出てきた私にはそういう関係の知り合いがいないのであった。  
異様な孤独を感じた。
孤独というのは面白いもので、ふとした時に出てきて、けっこうコタエる。
(追記)このメンバーというのは「信頼の問題」というより「責任の問題」として考える事柄だと思う。
今回私は売り子さんやお手伝いさんを頼んだが、どれだけ「信頼」していても、「じゃあ責任を負わせられるか」というと、そうとは限らない。責任とはそういう概念なのだ
何かトラブルが起きた時に「だったら俺が全部やっているべきだった」と少しでも思いそうなら、自分がスペースに張り付いて責任を持つべきだと考える。あくまで個人的な立場ではあるが。
4・搬出の難儀さ
前回の夏コミにて予想以上の速さで本が完売し、多くの方が残念そうな顔をなされていたのを気にして、
今回は搬入量を増やした。(結果として壁配置になったわけだ。)
総集編は56P、合同誌は104P。本がぶ厚い。合同誌を三冊まとめた封筒が、既に億劫な体積と重量になる。
この本の厚さが、残部として出た時に暴力になって私に襲い掛かった。 
一人の人間がカートなしにサクサク運べるものではなくなっていたのだ。
分厚い本を頒布するのならば、残部が出ないことを優先事項として搬入部数をきめるべき、と、はっきり認識した。 
単純に、体力の問題として。
部数の読み違いが致命傷を招く危険性、高い。
【変わらなかったこと】
1・多くの人に会える、多くの人に買って貰える、読んで貰える
結局ここのところ、この最大の醍醐味は変わらない。ただ、島にいても変わらないっちゃ変わらない
【よい意味で変わったこと】
1・でかいポスターを刷れた
これはすげえ満足だった。これを一度味わえたのは本当によかった。


・・・ で。
自分にとってコミケの楽しみとは何なのか。コミケに参加する意義とは何なのか。
それが再確認できたという意味で、今回こういう配置を得てこういうものを頒布できたことは大変有意義だった。 

先月に引き続き、エロ描く方のビフィダスがエンジェル倶楽部2月号(12月29日発売)でマンガを掲載させて頂くことになりました。
フルカラー8Pです。初めてのカラー原稿で、タイヘンでした。
エーコちゃんというぽっちゃり系巨乳女子と、しーちゃんというちょっとガタイのいい巨乳女子のカップルが、
男を交えてどうこうというお話です。
エーとシーサンプル1
サンプル2
タイトルは…二人がバナナとミルクっぽい位置づけので「バナナセーキ○○○○」とつけましたが今思うと恥ずかしい。
ご感想、アンケート等頂戴できれば幸いです。よろしくお願いいたします。

(事の顛末)
9月ごろ「次の商業まで一ヶ月ほど時間が空いたし、今のうちに冬コミの榛名本を作っておこう」

10月ごろ「榛名本終わったから商業20P描こう(センパイ・ビフォーアフター作成)」

10月下旬、仕上げが9割完成という時点で編集さんより電話
「4P増ページできますか?」
「まかせてくださいよ!二つで十分ですよ!」

10月末「さあ提出したぞ、じゃあ剃毛合同の為の書き下ろしと編集に着手しつつ伊勢日向まんが総集編も作って、榛名本の表紙も作って、三冊とも11月末〆切の20%早割りを目指そう」
と、その時、編集さんより電話
「12月頭〆切でカラー8Pいけますか?」
「まかせてくださいよ!二つで十分ですよ!」 

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