ビフィダス牧場

サークルyogurt、ビフィダスの活動報告場です

2018年09月

エンジェル倶楽部次月号に向けた原稿を入稿した。キャラデザ提出日が9月6日だったので、
この20P原稿に20日程度かけてしまったことになる。
今月はあれこれ用事が多く、作業時間を思うように取れなかったのもあるし、艦これイベントが重なってムニャムニャといったことがあったので深刻視はすべきでないと思うが、
それでも「時間をかけすぎた」…というか「気乗りしなくて作業が進まないことが多かった」という嫌な気分が残っていて、あまりスカッとした入稿明けではない。まあこれも「週末に三連休が重なって、『あんま急いでも仕方がない週末』の時間が複数回あった」という事情から来るものが多いのだけれど。
……
ついでに、備忘がてらちょっと思い出したことを描きます。
先刻「失楽天」に掲載させて頂きました「もてなしの湯」。
この作品は、描きながら悩み、描き終えた後も悩むというかなり苦い状態の中に晒され続けた作品だった。
komifloはこちら→https://komiflo.com/comics/4179
tirasi1
温泉街にて、困った女性と知り合う話というのを描きたかったのだが、
この女性(ヒロインの麦さんね)は、外見からして「温泉っぽい女性」では全く無い
これは意図してそうしたことだ。
「温泉っぽくない女の子が温泉宿の主をしている」という出会いがこうふんすると感じたのだ。
だが、描いていくうちにどんどん不安になってくる。
基本、「外見」と「属性」は連動しているほうが良い(ここの「良い」の意味も問題なのだが)。お嬢様然とした外見の子は、お嬢様であるか、お嬢様でありながらド変態とかと相場が決まっているし、黒髪ショートのボーイッシュ日焼け娘は運動部の後輩か、再会した田舎の幼なじみと相場が決まっている。こういうのは見て一撃で分かる。見て一撃で、舞台・人物の性格・物語・プレイ内容までおおざっぱに掴めるのがいい。
エロ漫画はとりわけ視覚的な訴求の強い分野だ。目に飛び込んでくるわかりやすく魅惑的な1ページ、1コマがあるだけで「おっ」と物語世界に引きずり込めるし、これが無いなら下手すれば雑誌の中で目にも留めてもらえないかもしれない。
…そんな中で、「もてなしの湯」のヒロイン、属性と外見が連動していないヒロインは失策のように思われた。
描きながら不安が膨れ上がり、企画当初の意志や意図はグワングワンに揺れて、描きながら「自分はダメ人間かも」とすら思った。
……
こうして発表された本作だが、結果としては(アンケートの集計はまだだから、よかったら送ってね!このページの画面下部にアンケへのリンクがあるんよ→https://www.wani.com/product/13878_s/)とりあえず、komifloではこれまでにない沢山の反応とご感想を頂けた。
読んで頂けたこと、そして読んで頂いた方からご反応を頂戴できたということに、安心した。
だから、当初の私の意志や意図はとりあえずそう間違ってはいなかった、と、一旦自分の気を宥めることができている。
……
本作を、外見と属性が違うヒロインにしたのは、「読んでいる人が自分で見つける宝物のようなヒロイン」のようにしたかったからだ。
先の表現を使うなら「見て一撃では分からないものを、自分で読んで見つける体験」をして欲しいなあ、と思ったからだ。
この体験、価値のあるもののはずだと私は考えているので、こういう作品を描いたし、多分これからもこういう姿勢でちょくちょく描く。
だが、こういう作品作りは、悲しいかなSNS宣伝の時代と全くソリが合わない。「フックになる画面を、みんなのために公開する」みたいなやり方に向かない。下手すれば作品魅力を毀損するかもしれない。
そんな訳で、「読んでくださった方がちゃんといる」と確認できたことが本当に嬉しかった。
これからも頑張ります。


……
「外見と属性の連動による分かり易さ」「一撃で見てわかる」系の訴求力というもの、「良い」もののように見えながら実は結構弱点があることなのかもな、と、ネバネバ考えている。

エロ描く方のビフィダスが失楽天10月号(9月15日発売、あっ割と間が開いた!)でマンガを掲載させて頂くことになりました。
寂れた温泉地で、偶然出会ったメガネの女の子とのラブストーリーです。
tirasi1
turasi2
日々の疲れ、僕らは癒したいのか、それとも抜け出したいのか。
夢は終わるのか、夢は叶うのか。しみじみ!
よろしくね!面白かったらアンケとかよろすくね!

単行本発売からエンクラの商業原稿、夏コミ原稿、失楽天の原稿、と作業が続き、
8月の終わりに失楽天原稿の作業が終わり、小休止の時間を得ることが出来た。
作業に追われ長考する時間がないので中長期目標が中々立たない、練習インプット(つまり写真や好きな絵、真似したい漫画のネームとか擬音とかを模写模写することね)をする余裕が無い、どっか旅行とかも行きたい、ということで、
9月からの作業方針は「作業を詰めこまない」というものになった。
作業進捗を僕はカツカツに詰めることが好きなのだが(例えば20P原稿だとプロット1日、ネーム下書き4日、ペン入れ3~4日、トーン3~4日、仕上げ2日、みたいにね)、普段どおりに詰め込んでしまうとインプットの余暇がないので、締切を若干遅らせつつ進行させることとした。
「今日はここまで作業をしよう」というラインを少しずつ少しずつ後回しにしていく。
締切に追われていない、余暇の時間が明確に出来る。

じゃあ、その間何をやったのか。

気づけば、めちゃくちゃ大量の時間を、普段やってるソーシャルゲームに費やしていたのだ。

いつもだったら一部デイリーミッションを終わらせてやめておくものを、気づけばウィークリー任務を全部こなしている。マンスリーやクオータリーミッションも、「残しておくのが何か気持ち悪いから」くらいの気分でこまごま調べて攻略し、一つ一つプチプチ穴を埋めていく作業に没頭している。知的な興奮や刺激は最早なく、しかし、ただただ作業をこなすことに特殊な快感が生じている。
気づけば、普段作業に当てている夜の時間は、ゲームに消費され尽くしている。
ゲームはいい。
遊べば遊ぶだけ経験値がたまり、レベルが上がり、キャラは強くなる。遊べば遊ぶだけ任務の空白が埋まり、ゲーム内アイテムなり素材なりが増える。明確に蓄積がある。「何かの為にはなっている」という感覚が、数値で保障される。
ここで使われている人間スキルの内実は、「勤勉さ」だ。
何かを勤勉にこなすというのは快感だ。三日坊主というコトワザが逆説的に示すとおり、自覚的勤勉さというのはある種の快感になって、一定期間維持できれば勝手に膨れ上がりながら軌道に乗っていく。
この勤勉さのお陰で、僕はコンスタントに漫画を描いてこれたとも言える。(結構僕はいいペースで作品を発表しているんよ。)
この勤勉さが、ソシャゲに絡め取られて吸われてゆく。
というか、ソシャゲというもの自体が(主語がでかい)、我ら日本人(目的語もでかい)の勤勉さという快感経路をツンツン刺激してチューチュー吸い取るように狙いを定めて作られている。
クラクラする話だ。

ハンターハンターの念能力に、一番最初の「纏」ってのがあるだろう。ほっておけば普段身体からタラタラ流れ出ていく念を、自覚的に纏いとどめることで、人は念をパワーとして保持することが出来て、やがて超人的な個性を持つに至る、とかいった、あれだ。
これ、そのまんまここに当てはまる話だ。
勤勉という精神回路、恐らく多くの人が普通に持っているこの回路を、きっちり自覚的に使って、楽しいことや面白いこと、やりたいことにつなげて行きたいものだと思う。
==
以下はちょっと違うお話。
前に同人のスケベRPG(めっちゃ良く出来てる)を遊んでいて気づいたのだが、
序盤はわりとすぐピンチになるので緊張感をもってゲームプレイしていても、
中盤以降になると自分はアホ強くなり、厄介だったはずの敵モンスターは薪割りの如くにスパスパ死に、ゲームは言わば連打ゲーというか作業ゲーになってくる。
この作業ゲーの状態、「結末見たさにゴリ押しして苦労なく進行できる状態」というのが、実は結構気持ちいいのだ。というか、ある程度強くなると「ギリ負けそうな状態」「作業にならない、つっかかる状態」がストレスでたまらなくなる。いちいち武器変更するとかキャラやスキル選ぶとかスーパーめんどくさい。考えたくない。ボタン連打で倒させろ。となる。
中盤以降はゲームは作業になったほうがいい、という性格が、一部のゲームの形態には確実にある気がする。
こういう時、自分の中でどんな快感経路が形成されているのか、ちょくちょくチェックするのは面白いことかもしれないね。

ここ一ヶ月、テーマについて考えていた。
テーマ。
エンジェル倶楽部さんでの三冊目に向けてのテーマで、これが決まると単行本の背筋がきっちり通るし、その間、失楽天さんでの作品作りにも焦点が定まるので創作ペースを維持し易くなる。
だがこのテーマというのを決めるのが難しい。

単行本は8~10作が収録されるとして、
「一冊の内の三分の二まで一貫性があればその本には性格が備わる」と古事記にあるので、2~3作は猶予があるっちゃあるのだが、
性分として、それなりの見通しが無い状態で動くのは怖いので、やはり方針は急いで決めたほうがいい。

テーマの縛りが強すぎたりアクが強いと良くない。
かといって希薄であると意味がない。
自分の表現したいことに自然と接続できて、しかし自由度は高めで、一つのテーマの中でなお色々なことに挑戦できるテーマがいい。
ちょっと背伸びしたテーマだと毎回のモチベが維持し易いのでいよいよ良い。

ハンターの念能力選びのように慎重な作業でしたが、
今大分定まってきて、必勝の確信が出てきたので、悩む時間は終わりそうです。


【テーマのいいとこ】
1・レパートリー思考法が使えるのでアイデアを出し易い
2・出だしで悩まずに済む
3・長期掲載や二誌同時掲載とかにチョー便利
【テーマの悪いとこ】
1・思考が硬直化しやすい
2・考える時間が一年単位で免除されるので一年後にいざ頭をひねらねばならない時に苦労する
3・テーマAでは自動的にクリアできていたことがテーマBでは満たせていない、というような問題が生じ易いので、けっこうセルフチェックが必要。

↑このページのトップヘ