こんにちは。
今回私は『艦娘剃毛合同』(後に愛称としてソリコレという名を付け直した)という合同誌を企画して取りまとめることとなった。
itakusample
宣伝用
(よろしくね!ソリコレ~艦娘剃毛合同~のお知らせ C89
イベントを終えて、合同誌の主催者として、何を考えていたのか、何を考えるべきだったのか、こういったことを集合知として共有することによって皆様のお役に立てばいいと考え、総括をかねてこんなコラムを書いてみます。
合同誌を主催してみたいという方
合同誌に参加してみたいという方

ご参考になれば幸いです。
※俺はこうしてる!俺はこう思ってたんだけど!といったご意見がございましたら、どうかお寄せ下さい。 
※なお、合同誌にも色々あって「少数の作家さんで、印刷費も売り上げも全て折半するコラボ誌(世間ではこれを合同誌と呼ぶ場面も多い様子です)」とか「ゲスト原稿を招いた個人誌」とか、色々ある筈です。今回私が念頭においているのは、主催者が寄稿者を集めて印刷費を負担してデーンと本を出す奴です。巷に言うアンソロです。

【合同誌を企画する際に考えるべきこと】

1・企画の目的は何か

その本を企画する目的は何なのか。何をすれば「自分は成功した」と思えるのか、これをしっかり見定めておくことは重要だ。
幾つかの目的設定が考えられる。
売り上げ
最低限赤は出さない、とか、作業時間を時給換算するとかで、主催側は一定のラインを設定する。合同誌の企画、品質管理、宣伝等に凄まじく気を遣う(本来ならどんな本でもこのことは凄まじく気を遣うべきではある。売り上げというのは「多くの人に喜ばれ、社会に価値を認められたことの指標」そのものだから。大切な事柄だ)。
自分と同じ領域にいる特定のファン、特定の領域の愛好者に向けての発表
その特定層の方々になら絶対届く、というようなものを作る。こだわりが重要。
仲間内でやり、参加者という仲間を作り、知り合いを増やす為の合同誌
こういう形態もあり得る。本を出しさえすれば目的は達成されると言えるかもしれない。
祭り
参加者がドバンと盛り上げて楽しむ為の本。花火。だから楽しめれば目的は達成。無論それでもクオリティを上げることに変わりはないだろうけど。(これは僕の推測に過ぎないが、物凄く知名度の高い作家さん同士が集まって超分厚くて超シコれる合同誌を作ったといった場合、この意識が高いのではないだろうか。つまり神々の遊び。)
自己満足
自分の好きな作家さんを集めて本という形にしたい、願わくばなるべく高いクオリティで、的な。だが、これは割と必要な事だと思う。「この本、最高だ!」という実感、これさえ確保できれば、何があっても堂々としていられるものだ。
自分の本の穴埋め。ゲストって言い方の方が正しいのか。自分の本の最後に1Pなり2Pなり描いてもらうみたいな。これがあこぎな形態になると、○○Pの本を出したいけど自分は△△Pくらいしか描かないでゲストさんを招いて描いてもらって本の価値と知名度を高める、なんて形になる予感だ。余りにあこぎなやり方をするとなんかを失う気がする。
自分の知名度を上げたくて企画する
…これは正直無理筋だ。合同誌を主催して作家さんを集めたいというのなら、自分の存在価値、魅力、宣伝力、そして社会的信用が一定以上高くなければならないし高めなければならない…と、私なら考える。(そういう意味では今回の剃毛合同は私の分際を超えた豪華執筆陣を招く形になってしまった。私は、アカウントこそ巨大であれ作風や絵に一定の決定的魅力がある人間ではないからだ。死にたい。)
……
上の諸要素はそれぞれの割合で混ざり合っているというのが実状だと思う。

2・企画規模はどれくらいにするか。

これも、二つのアプローチから考えねばならない。
幾つかパターンがありえる。

アプローチ1:参加者を募る側から

・参加者を兎に角集める
ファンアイテムとして企画し、募れる人は兎に角募る。レゲーや超特殊な性的趣向みたいな、小さい母数でのファン合同とかではよくある話だと思う。
・自分の知り合い同士で作家を集める
普段から交流があり互いに信頼している作家さん同士のつながりの中で企画を行う。よくある。
参加者を「ある程度」集める
これもよくある。つまり、まず知り合いの作家さん同士で集まり、その後に執筆者の募集をかけ、同好の士、モチベーションの高い方を集める。母数の大きい人気ジャンルでコンセプト合同誌をやる時などはこれだろう。
精鋭
本の価値を最大限高める為に執筆陣を厳選する。多分こういう場合、参加者は公募せず全部内々に声をかけていく。公募するにしても厳正に審査し、お断りをすることが出てくるに違いない。お祭り企画・神々の遊びにはこれが多い気がする。細かいことは知らない。

☆寄稿者募集の時に気をつけたいこと。
・結局のところ、合同誌の企画は8割がたは主催者の信頼度や手腕で成立すると思う。ものすごい作品が魅力的だとか、ものすごい顔が広くて信頼があってマーケティングが上手くて資本があるとか、私のケースのようにイケイケで宣伝できるとか。これに関する一定の計算をした上で企画をすべきな気がする。
そして、主催側も、顔として一定以上の責任を引き受けないといけない気がする(今回この責任を果たせたかについては悔いがある。150%の力を出すべき事柄だし、力を尽くしたとしてもそれでもなお後悔を引き受けざるを得ない事柄なのだ)。
……この世の合同誌サークルの運営形態を全部知ってる訳じゃないから何とも言えないのだけど。
・よく知らない人からの誘いなり申し出なりを受けた場合は気をつけたい。「どういう人なのか」というのはネット上では本当にわからない。トラブルを招いたときは責任を引き受けることを覚悟しないといけない。
・よく知らない主催者に寄稿を申し出る時は、「自分がどういう作品を描けて、合同誌にどういう価値を付加できる人間であるかを示すもの」を用意すること。pixivへのリンクなり、twitterをポートフォリオにするなり。これがないと、主催側は判断ができない。
・寄稿の申し出を断る精神力がない場合は主催をお勧めしない。

アプローチ2:本の価格から

こっちからも考えるべきだ。どう頒布するか、委託する際はどういう価格帯になるのか、などを考えることになる。
幾つかのパターンが考えられる。B5サイズの漫画と考えると…
・20~50Pくらいで頒布価格500円。
・50~80Pくらいで頒布価格600円とか800円とか。(このあたりのさじ加減はよくわからん)
・100P以上で頒布価格1000円以上とか。
ただし、分厚い本ほど様々なリスクを抱える
☆分厚い本のリスク。
・印刷費がかさむ。
・値段が高いので、買う側からすると買うのが億劫。これは本当にある。「安くすればいいじゃん」という問題でもない。「分厚い本が安い」ということが、同価格帯ないし同ページ数の作家さんに迷惑をかけるということはある筈だからだ
・本の体積が増えるので在庫管理が大変。搬入量はかさばるし搬出は労苦になる。イベント搬入部数の見極めは重要。
・他にもある…が、それは次の機会に。

3・参加者への対価はどうするか。

報酬なり謝礼、つまり参加への対価を設定し事前に示すということは不可欠の事柄だと思う。
作品というのは書くのに時間と労力がかかり、そして作品発表というのは作家が自分の人格性を一定の仕方で危険に晒す、大変デリケートな、スピリチュアルな営為だ。この世の漫画仕事に原稿料というものが存在するのもそれへの最低限の対価なのだろう。
対価を設定するということは、「主催者が寄稿者の原稿に対し一定の尊厳を保証する」ということを意味する気がする。
そして、その対価を得るということは、「寄稿者が自分の原稿に対し一定の品質を請け負う」ということでもある。正直、設定すべきだと思う。
で、幾つか対価の用意の仕方がある様子だ。
・完成本の献本
これは必須だろう。一冊とか三冊とか。但し、「本を複数冊貰っても仕方がない、自分で売るってのも変だし」という意見もあり、これはごもっともだと思った。難しいね。
・原稿料(ないし謝礼という名目でのそれ)
献本に加え、ページ辺り○千円、みたいな仕方で設定する。主催者は、「本のゲストページ数×○千円」を一気に失うので懐事情に注意されたし。また、謝礼の引渡しに関して現金を扱うので面倒が増える。引き受けるべき面倒だが。返礼は献本のみというケースもある様子だけど、これは「参加者に余程の善意がある」とか「金を払う/貰うほどの原稿でないと主催者も参加者も思っている」みたいな一定の事情が噛み合ってないと維持できない事な気がする。この辺りはよく分からない。
・原稿の対価になるようなお土産を用意する
これもある。「金銭の授受は避けたい」という立場の方もいらっしゃるからだ。
・原稿交換
つまり寄稿者の方が何か描いて欲しくなった時に原稿を描くという約束。これもある。但し、例えば10人のゲストに全てこれをOKするとなると、あなたは原稿作成時期に自分の原稿以外に10の原稿を描かねばならなくなる。これ、かなりしんどいはずなので念頭に置くべき。 

☆受け渡し方。
これも考えないといけない。
・イベントでの受け渡し
常套手段。でも、スペースで待ってなきゃいけないからしんどいよ! 寄稿者がサークル参加者である場合、そちらの移動の自由も利かないから、大変なのだ。
「主催が参加者のスペースを全部回る」と覚悟してもいい。が、それでも、謝礼がある場合は直接手渡ししないと問題が生じそうで怖い。不自由。
「コミケの最中に誰かにちゃんと会う」ことの難しさは、皆様ご承知だと思う。
…イベントで渡したい人との参加日ずれる場合、共通の知人に物品を任せて渡してもらう、という手段も考えられるのではあるが、如何せん「会えなかった場合に待つのは負担だし渡せなかった時に責任を持ちきれない」ので、断られても当然のことだと思う。あまり期待できない。
・配送、振込み
個人情報を扱うことになる。それ関係のリテラシーのない人間は絶対に携わってはいけない。
そういや「郵便局留めの郵送でお願いします」みたいなことも可能。 
☆追記
ある作家様より、このような手段があるとお話を頂戴いたしました。
・Amazonギフト券を使う
現金の直接のやり取りや個人情報のやりとりなしに金品を授受できるシステム。
Amazonを常用される方にはとてもいいやり方だと思われます。



…さて、
「原稿仕様・編集作業・製本後の行動」などについてはまた日を改めて書いて行きます。
【とくべつコラム】合同誌を作る その2~編集編~
【とくべつコラム】合同誌を作る その3~広報編~